Somewhere in the Arctic

北欧、在住9年目。家の窓からオーロラが見える、雪深い北極圏近辺でひっそり暮らしています

映画「あん」を観て考えたコロナ時代の今

 

春から初夏にかけて観たり聞いたり読んだりしたものからの備忘録です。

 

 

映画「あん」を観ました

an-movie.com

スウェーデンの国営放送局SVTで放送していたものを観ました。

スウェーデン語でのタイトルは「Under körsbärsträden(桜の木の下で)」。
(現在SVTでの放送は終了しています。)

SVTの映画の選択は、大きな映画館で放送されているようなハリウッド映画よりも、映画館ではなかなか見つけることの出来ない映画が多く、観たあとに色々考えさせられるような作品が多いように思います。

そんな中から見つけた久しぶりの日本映画でした。
(以下、感想の中に物語の内容も少し記載しています。)

 

 

元ハンセン病患者と中年どら焼き職人の交わり

私は今回映画を観るまでは内容は全く知らずに拝見しました。
なので、見終わった後はかなり色々考えさせられる映画で衝撃でした。

 

物語は美しい桜の景色で始まります。元ハンセン病患者だった徳江さんとその周りの人々の交流を描いています。

この映画を観て、ハンセン病という病気があったこと、そしてその病気が感染すると勘違いされていて、長い間病気にかかった人達が隔離され、差別を受けてきたことを私は初めて知りました。

 

もちろん、映画の題名となる、「あん」も物語のなかでは重要な存在。

美味しい小豆が入ったどらやきを観て、後でどら焼きが食べたくなったのは言うまでもありません。

 

詳しい映画の内容や色々な場所で書かれていますし、また実際に映画を見ていただきたいので、ここでは詳しく書きませんが、作者のドリアン助川さんのインタビューを映画を見終わった後に読んで更に、この映画が出来るまでの過程を読むことが出来て、ますます深く心に残る作品の一つとなりました。

 

www.huffingtonpost.jp

 

 

無知から来る恐怖の恐ろしさ

ちょうど放送されていた時期に新型コロナウィルスが猛威を振る舞い始めていた時だったこともあり、今の現状と少し重なり、色々な思いがよぎりました。

ハンセン病も、当時はわからないことが多かったことから、感染した人々は社会から隔離される生活を余儀なくなれ、差別を受け、多くの生きていく中での選択肢を奪われてしまいました。一度も外の世界に出る事なく70、80歳になった方々もいらっしゃいます。

ハンセン病は完治する病気であり、ハンセン病患者や回復者の人から感染する可能性は皆無に近いと言われています。にも関わらず、社会の無知や誤解、根拠のない恐れからハンセン病からの回復者、そして多くの家族の方が今も偏見に苦しまれているとのこと。

 

現在の新型コロナウィルスも次の日には以前の報道とは全く違うような情報が次々と放送されていました。2月から4月頃にかけては、メディアで目にする情報の殆どがコロナに関連する事。大手のメディアは正直大げさすぎる報道も多いと感じました。


Stay Homeで家にいる人々の中には一日中テレビを見ていた人もいたのではないかと思います。そんな状況の中、まだ実態のわからないウィルスに関するニュースを、どれぐらいの人が本当か、またこれらの情報はどこから来ているのかを考えて受け止めて見ていたのでしょうか。ただ、流されている情報をそのまま真に受けている人も多いのではないでしょうか。

 

無知から生まれる恐怖の感情、そしてその恐怖から生まれる差別、争いなどの悲しいニュースも報道されていました。ウィルスがアジアから来たと言われば、アジア系の人が差別の扱いを受け、同じ国の中でもどこどこの地域から来たと言われれば、その地域の人々が差別の扱いを受け、医療機関で働いている家族がいると聞けばその家族、また子どもに対して差別の扱いを受けたという現状を耳にしました。

もちろん全ての人がそういう態度を取っていると言うわけではありません。でもそういった人々の不安や恐怖は実際どこから生まれているのでしょう。毎日報道されるニュースの内容によっては、そういった報道をしても何の解決にもならず、ただ不安を煽っただけのものも多くあったように思います。もしそういった報道を見ていなければ、生まれなかった恐怖、感情、差別もあったのではないかなと。

 

もちろん自分を、そして家族を守るためにも情報収集は必要です。でも今の時代、誰もが情報を発信できる今、情報発信者によっては責任をとらず、ただ多くの人の目に留まってほしいという思いから発信されている情報が沢山あるのも現状だと思います。

しっかり対策を取る必要はあるものの、大げさなニュース、そして根拠の無い噂話などから生まれる恐怖の感情から起こる、差別、争いはもっと恐ろしいように思います。そしてそういった気持ちになっていることを当の本人は気付かずに、振る舞いがちです。

 

今の時代、情報収集者がもっと敏感になり、受け入れる情報に対して、まずは疑いの目、もしくはリソースはどこからなのかを常に考えつつ情報を受け入れることが大事だなと思います。

 

日本で報道されている異なるスウェーデンの状況

 スウェーデンが他の国とは違った対策を取っていたことから、日本でもニュースで取り上げられたようで、でもこちらで放送されている内容とは異なり、友人から聞いてビックリするような内容もありました。

 

国単位で比べられがちですが、比べるにもそれぞれの国の背景に違いが多すぎて比べることが難しいのが現状のように思います。

実際にストックホルムのカロリンスカ大学病院で働かれている日本人医師の方がメディアの誤報道に関して、そしてスウェーデンの現状を記事にされているので、興味のある方はこちらを読んでいただくのが一番参考になるのかもしれません。

 

forbesjapan.com

 

Smittans tid (日本語タイトル・コロナ時代の僕ら)

世界25ヶ国で発行された話題の本。

オーディオブックでスウェーデン語で聴きました。

www.bokus.com

 

日本語本

コロナの時代の僕ら

コロナの時代の僕ら

 

 

日本のアマゾンのページでレビューを読むと評価の高いものが多いように思います。もちろん訳者によって表現の仕方なども異なるので、日本語の本の評価はわかりません。また機会があれば日本語でも読んでみたいなと思います。

 

スウェーデン語で聴いてみた感想としては、正直内容に関しては私がそこまであっと驚くですとか、特にここが印象に残ったという箇所はありませんでした。短くてとても読みやすい(聴き易い)本だと思います。

淡々と客観的に現状を述べられていること、また差別中傷をもって誰かを批判することを否定しこの問題は私達(人類)の問題であること、そしてこの時体験したことを忘れてはいけないと書かれていることなど。ニュースで聞く報道とは異なる視点でコロナの現状を知るには良い本だと思います。また何年後かに読み返すと違った気持ちで読める本になるかもしれません。

 

 

読んで頂き有難うございました。